ジェイクールのスタッフ雑記

電王戦リベンジマッチ『菅井五段vs習甦』その2 攻め合いから飛び出た米長玉。菅井五段長考に沈む

夕食休憩を明けると、菅井五段は4六歩と指し、対する習甦は遊び気味の7三銀を活用すべく6四へ。
7筋への歩を使った攻めも見せた一手でした。

そこから菅井君は4五歩、同歩、4四歩、同金と局面を動かして、
飛車、金、両取りの7一角打。後手は両方が受かる4二飛車へ。
ここらへんは先手が誘導した流れとはいえ、前局を思い出すような
4二飛には嫌なイメージがしちゃいますね。

ここで菅井君は5二銀。
おそらくは狙いの一手で、解説の中村太一六段も驚きの一手でした。
ただ、終わってみないと好手か微妙手かは分からないとも言っていました。

その意味としては、受けるのはなかなか容易では無いけど、
放置して攻められた時に、どちらが早いか分からない。という事だと思います。

そこで習甦は矢倉崩しの定番6九銀を決め、先手は6八金寄り。
続いて見せたのが4六歩。

「この手が間に合うのか」というのが素直なところで、
速度勝負の中、深く読めていないと差せない一手ですね。感触良いです。

先手が6三銀成、6四成銀引と銀を取る間に、後手は4七歩成、3八と金。
2八の飛車に「上がりますか? 1八と寄りますか?」と尋ねる一手。

見た目どこへ上がっても難しそうな印象でしたが、菅井君の決断も
1八への飛車寄りでした。

ここで夜食休憩に。夜食休憩では冷やし中華が出るそうです。
解説の太一君は、将棋会館の隣にある鳩森神社で開催されていた
盆踊りイベントから来たそうで、何とも涼しげな和服姿でした。

午後11時。休憩が明けて夜戦の始まりです。
太一君によると、菅井君は休憩時間中も対局場で考えていたそうで、
おそらく食事もしていないでしょうと。

少し菅井君に疲労の色が見え始めた気がします。

本局では、たびたびポナンザの読み筋を見たりするのですが、
現局面での読み筋は、角切りから駒を投資しての飛車取りでした。

これは、第3回電王戦でも話題になりましたが、
コンピュータは、角を小さく、飛車を大きく評価している傾向があり、
この読み筋に関してはそれが過剰になった、無理やり飛車を取りに行く
パターンな気がしました。

太一君が実際に局面を作ってくれましたが、これは後手の攻めが切れているように見えます。
「流石にこれはやらないろうだろうな」と見ていましたが、
差された手は、もっと驚きの1二玉。米長玉です。

攻め合いの中、一転しての1二玉。
これは本局で一番の驚きの手であり、深い読みを思わせます。
太一君が「羽生さんのようですね」と言っていましたが、同じ印象を受けました。

これには「長考に沈むだろう」という予感がしましたし、
太一君も「1時間は考えるのではないでしょうか」と言っていましたが、
もうすぐ午前1時となり、約2時間の大長考となっております。

間違いなく、ここが勝負という事でしょう。
菅井君の表情を見ていると、本当に応援したくなりますね。

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