将棋の話をまとめて2つ。特に竜王戦挑決は大一番でしたね。
【竜王戦挑戦者決定!】
お互いに先手番で1勝して迎えた挑戦者決定戦第3局。
振り駒に愛された糸谷君の先手から、戦型は横歩取りに。
勝負局らしく、羽生さんは序盤から飛車をぶつける積極策。
横歩らしい激しい展開で、新手を出したは先手の糸谷君でした。
羽生さんも2六銀という、一目タダ捨てに見える派手な手が出て、面白い将棋でしたねえ。
羽生さんの差し回しは、早指し棋戦の時にたまに見せるような勢いを感じます。
対する糸谷君は手が広い局面で見せた、51手目の3三歩打の叩きが素晴らしい対局観でした。
激しい応酬となりましたが、読み勝ったのは糸谷六段。
95手で羽生名人の投了となりました。
羽生さんからは相当な気合いを感じましたが、糸谷君やりましたねっ。
本局の勝利で、規定により七段昇格も決定。
本局もそうでしたが、糸谷君の竜王戦トーナメントでの将棋は、
非常に充実していて、決して勢いでは無い強さを感じましたね。
今期、絶好調で本局で4敗目となった羽生名人に2つ黒星をつけたのは恐るべし。
間違いなく最強の挑戦者でしょう。
竜王戦では糸谷君の時間の使い方にも注目です。
芸スポの記事を見ていると、やはり羽生さんの永世七冠への道を期待していた人も多く、
反応は人ぞれぞれでしたね。自分はニコ生の解説に来てくれるのを期待しておきます。
【王位戦第6局】
羽生王位の3勝、木村八段の1勝、持将棋1で迎えた第6局。
木村さんはタイトル奪取に3連勝が必要という苦しい状況ですが、一戦必勝の積み重ねとなるか。
戦型は今シリーズ3度目の角換わりへ。
進行は持将棋となった第3局をなぞる形で相腰掛け銀となり、41手目の6八金右まで進みます。
第3局と違う点は、先後が逆なところですね。
42手目。羽生王位が用意の3五歩と指した所で前例に別れを告げました。
同歩に2四銀とし、次に3五銀と出る手を狙っています。
ここでは盤上この一手の3四歩。自然な流れですね。
後手は2七角打から馬作り。しかし、その馬は先手陣で縛られる形に。
作ったのか作らされたのか。
54手目。後手の4三金左。これには控え室、ツイッター解説の森下九段も驚きでした。
「こうやるしかないのは」と思うところで、封じ手前の勝負術にしても、疑問が残ります。
局面はこのまま封じ手へ。
1日目はツイッター解説の森下九段が、色々と面白いエピソードも書いてくれていたので、
将棋だけではなく、棋士も好きな方には是非オススメです。
特に前会長の米長さんの語録が実に良いです。
王位戦第6局中継
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/55/oui201409100101.html
1日目の感想としては、羽生さんの差し回しが荒ぶっているというか、
月曜日の竜王戦挑決で、並々ならぬ気合を見せていたのが、敗戦を受けて歪んだ形になっているようにも。
森下さんも「なりふり構わぬ迫力と、その反面の焦りかな」と。
感想戦では、この4三金左の意図を聞かれ「変な手ですが、他にないのでしょうがない」と。
このような言い回しをする事はありますが、今回のはやや淡白な印象。
2日目。
攻めに出る後手に対して、更に攻めを呼び込む先手。
この強い受けに裏打ちされた呼び込みが、木村さんらしくて今シリーズでも光ってますね。
先手も馬を作り、互いに攻防手が繰り出される中、やや先手良しと見られて迎えた77手目。
馬取りに6三歩打と受けた手が、利かされでやや損と見られていましたが、
感想戦では、後の流れを精査した結果、この手が悪手級の疑問手だった模様。
何気ない一手が命取りですから、将棋の怖さですねえ。
先手は、控え室で「寄りがないのでは」と言われていた攻め筋を進め、
上回る一手が指されるのか注目が集まります。
94手目、2一桂打。この後手の受けが運命を分ける一手に。
自然な手に見えましたが、これが敗着。4一桂打なら後手勝ちというんですから、怖い局面連発ですね。
木村さんは4一桂打自体は見えていたようで、その後の変化に誤算があったようです。
実戦では先手が見事な寄せを決めて、109手で後手が投了。
木村八段の2勝目となりました。羽生王位は竜王戦挑決に続いての敗戦で連敗に。
本局は、羽生さんの差し回しに違和感があり、
2日前に大一番で負けた影響を感じざる得ませんでした。
いつも切り替えが上手い羽生さんだけに、次の対局に注目です。
逆に木村さんはチャンス到来で、次の後手番をブレイク出来れば、
あとは五分の勝負だけに、次が正念場ですね。
1局目のような積極策からの会心譜を期待しています。
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