ジェイクールのスタッフ雑記

NHK杯『小林裕士 七段vs谷川浩司 九段』光速の寄せは陽炎に

第64回NHK杯テレビ将棋トーナメント。
本日の対局は『小林裕士 七段vs谷川浩司 九段』。
久々に対局者として谷川さんを見れるのは嬉しいですね。

解説は豊川孝弘七段。流石に知らない方が多いのを配慮して「マンモス!」の挨拶は無し。
10月からはNHK将棋講座の講師をするそうで、準備に忙しいみたいです。
誰がアシスタントするんですねえ。垣根なくニコ生からの流れで高梨臨さんだったら嬉しいとこ。

先週の持将棋指し直し局の回と2本撮りだったのか、読み上げの室谷さんは最初から疲労感が(笑
対局は谷川さんが後手になったので、豊川さんは「飛車を振るのでは」と見ていたようですが、
本局は流行りも流行りの横歩取りへ。

最近は編集の入る回が多かっただけに、今回は逆にゆっくりに感じますね。
玉は互いに中住まい。先手は3八金、4八銀型。後手は5一金、6二銀型。
小林さんは体格の良さは一目ですが、身長が185cmもあるんですねえ。ほんとに大きいです。

後手から7四歩、1六歩、7三桂、1五歩。先手は端を突き越しました。
この手を活かせるか構想に注目ですね。
2三銀、3三角成、同桂、8八銀、2四歩打、7五歩。歩をぶつけます。

4二玉、7六飛、7五歩、同飛。7四歩打、7六飛。やや、ぼんやりした応酬に見えます。
ここで好きな駒の話になり、小林さんは飛車、谷川さんは角桂が好きだそうな。
ちなみに豊川さんは前は玉だったけど、今は歩が好きとのこと。玉って面白いですねえ。

激しくない横歩は、後手の6四歩、3六歩、6五歩、3七桂。
この手を見た後手は2五桂と桂交換の催促。
7七銀、3七桂成、同銀。ここで後手は狙いの9四角打。

飛車に当てつつ、角道の先には先手玉があります。
ここからこのラインを巡った攻防となり、後手の攻めが上手く、桂角交換の駒得に。
その後も後手の攻めは続き、遂に8七飛成と飛車切りで踏み込みました。出るか光速流。

同桂に、ここでは豊川さんも「次は凄い手が出ますよ」と盛り上げます。

しかし、期待の手は指されず、7六角。感想戦では谷川さんも「ここは6六角でしたね」と。
この手が有力で、飛車、角と続けて切って寄せていく、
「これぞ光速流!」というチャンスだっただけに、惜しかったですね~。

実戦の7六角には、8六飛打と受けた手が好手で、後手は9四角と引きます。
おそらく、この受けを見落としていたのか、谷川さんからため息。

ここから手番が回った先手からも攻撃の手が入るようになり、押し引きの展開に。
解説では良く使う将棋格言の「一歩千金」は、大山十五世名人や羽生名人も色紙に揮毫していますね、
という話になり、豊川さんの揮毫文言も聞く流れ。

「きこんです」

各回の解説者にジャブを入れてきた、未婚の清水さんに対するカウンターが炸裂っ。
自分も含めて、思った人がそこそこいるのではないかと推測しますが、
『きこん』は『棋魂』でした。豊川さんらしいですね。

指し手は谷川さんが5四角と受けた手が感触良く、
その後、6九銀打としたところでは、駒音が高かったですね。
先手の攻めは、やや遅い印象。

これに4八玉と寄った手に、2六桂打。挟撃体制で先手玉に迫ります。
先手は角を外す勝負の4五銀。豊川さん曰く「下駄を預けた手」。
やはり、この手が自玉を危うくしたようで、3八桂成からの寄り。

同玉、3七歩打。ここで小林七段が投了。
以上、100手で谷川九段の勝ちとなりました。
光速の寄せは陽炎となりましたが、勝ち将棋が久々に見れたのは少しだけ嬉しいかも。

豊川さんは対局解説中にダジャレを控えめにしたせいか、
終局後は開口一番に「ミル・マスカラスの跳び桂(蹴り?)のような」と、
やや狙いどころの難しい、一部ウケ発言も。

豊川さんはダジャレを言っても嫌味にならない、あのポジティブな感じがいいですよね。
いつもの「マンモス!」って挨拶も「それで相手が笑顔になるから」という素敵な理由ですし。
人がいないとこだと、森内さんも「マンモスっ」と返してくれるそうなので、いつか見てみたいもんです。

来週の対局は『飯塚祐紀 七段vs西川和宏 五段』。
両者の棋風は、あまり詳しくないので楽しみにしておきます。
久保利明九段の解説も楽しみですね。

それでは、また来週。

【先週のNHK杯】
NHK杯『行方尚史 八段vs澤田真吾 五段』雲行きの怪しくなった展開はテロップ降臨で
【翌週のNHK杯】
NHK杯『飯塚祐紀 七段vs西川和宏 五段』重厚vs粘りの対決は相穴熊となり
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