第64回NHK杯テレビ将棋トーナメント。
本日の対局は『佐藤康光 九段vs藤井猛 九段』。
人気棋士同士の対戦ですね。どちらが後手でも面白そうです。
その注目の先後は佐藤さんが先手。藤井さんの角交換四間飛車が出るでしょうか。
どちらも座布団の手前に座っていて、静かな闘志を感じます。
解説は広瀬章人八段。先月まで『NHK将棋講座』の講師を務めた話を振られ、
「ホッとしているのが半分、寂しいのも半分」と答えていました。
現講師の豊川さんは持ち味のダジャレ全開で頑張っております。
対局前のインタビューは、どちらもベテランらしい落ち着いた喋り。
佐藤さんは「最近NHK杯では勝てていないので何とかしたい」と力強く。
藤井さんは青シャツに縞々ネクタイ。襟だけ白いのが面白いですね。
佐藤さんの初手は7六歩。3四歩、2六歩、4二飛、6八玉、8八角成。
予想通り、期待通りの後手からの角交換四間飛車に。
同銀。6二玉。7八玉。7二玉。4八銀。3二銀。
9六歩、9四歩、8六歩。先手は銀冠に組みそうですね。8二玉。
8七銀、3三銀、8八玉、7二銀。後手は美濃囲い。7八金、6四歩。
7七桂、5二金左、3六歩、7四歩、4六歩、6三金。
ここで藤井さんは角交換四間飛車でも升田幸三賞を受賞しているという話に。
最初の頃はなかなか結果がついて来なくて、自身も難しい戦型と言っていましたが、
結果を出して道を切り開いた開拓者っぷりは流石の藤井さん。
4七銀、7三桂、2五歩、5四歩。広瀬君は「穏やかな進行で、持久戦バージョン」と解説。
ここで両者の対戦成績。佐藤九段23勝、藤井九段10勝。
何となく予想は出来ていましたが、数字で見るとダブルスコアは重たいですねえ。
「この展開は千日手になりやすいので、先手がどう打開するかが注目です」と広瀬君。
3七桂、2二飛、5八金、8四歩。
藤井さんは角交換四間飛車の本を出したそうなので、気になる方はチェックしましょう。
6八金右、4四銀、4五歩、3三銀、5六銀、8三銀。後手も銀冠に組み替えます。
6六歩、7二金、1六歩、1四歩。
広瀬君は佐藤さんの普段の印象を聞かれ「盤を離れるとお茶目」と言っていました。
解説などを見ていても、数あるエピソードからも分かる気がします。
5八金、4二銀、4八金、5三銀、2九飛、6二銀。
先手は右の金を四筋に移動、セットの飛車引き。対する後手は銀の一人旅。
6七銀、5一銀、5六歩、5二銀。間合いを計る展開が続きます。どちらから行くか。
1八香、6一銀、1九飛。ここでいつもの画面右下にNHK杯のロゴ表示。
もう11時ですかあ。って、まだ59分のような。
ここは腕の見せ所と言われていた後手は3二飛。
2九飛、2二飛、1九飛、3二飛。この応酬は千日手コースでしょうか。
2九飛、2二飛。互いの指し手が早くなります。
2六飛、5二銀。佐藤さんは考慮時間1分まで考えるも2九飛。
後手の6一銀。これで同局面が4回となり千日手が成立。70手でした。
先後が入れ替わって、藤井さんの初手は7六歩。
3四歩、6八飛、4二玉、4八玉、3二玉。
3八玉、6二銀、2八玉、8四歩、3八銀、1四歩。藤井さんは再び角道を止めない四間飛車。
7五歩、1五歩、7八飛、6四歩、7四歩、7二金。
先手が軽快に7筋を突いた手に対して、後手は端を詰めます。
これを見て、先手は飛車を7筋へ振り直し。
2二角成、同銀、7三歩成、同金、8八銀、3三銀。
先手から角交換、更に歩の交換と動いていきます。
7七銀、6三銀、5八金左、2二玉。
ここで考慮時間の回数に差があるのを説明をするテロップ。別に要らないような。
藤井さんが悩ましい表情で考えています。
4六歩、3二金、6六銀、7四歩打。
佐藤さんは「自身の棋風を漢字一文字で」と聞かれて「謎」と答えたそうです。
佐藤さんらしいというか、本人が言うのが面白いですよねえ。
4七金、8五歩、8八飛、5四銀、5六歩、6五歩。
7七銀、4四歩、3六歩、4五歩、同歩、同銀。7筋に続いて2回目の歩の交換。
4六歩打、5四銀、3七桂、6三金、6八銀、7三桂。
後手は7筋、先手は4筋に歩を打ったため、1枚ずつ手持ちに。
5七銀。この藤井さんの指し手は力強かったですね。
広瀬君が指摘していた後手が角を打ち込んで成る筋をやってこい、ということでしょうか。
8六歩、同歩、8七歩打、5八飛、6六歩、同銀、8八角打。
この6六歩、同銀は、広瀬君も言っていましたが先手がありがたいように見えます。
9八香、9九角成。これが得となるか否か。
7七桂、8八歩成。広瀬君は局面を「振り飛車が上手くやっている印象」と評価。
これには同感で、振り飛車を指す自分としては、指がしなる展開ですねえ。
ここで藤井さんは考慮時間を使いきります。攻めの構想を練っているのでしょう。
4五桂、4四銀、5五銀、同銀直。同歩。
ここで後手は9八の香車をと金で取る攻めの手と、
馬で取り自陣へ利かす守りの手がある中、後者を選択。9八馬。
7五歩打、6五桂、同桂、同馬、5六桂打、5五銀。
先手は広瀬君予想の6六銀打。5六銀、6五銀、4七銀成。
同銀、2五桂打、2六銀打、3七銀打、同銀、同桂成。
後手は銀を打ち込んで形を決めていきます。
同玉、2五桂打、4八玉、3七銀打、5七玉、4四歩。
先手からは5五角打の王手飛車があったので、後手は形を決めて4四歩。
この手は力強かったですね。先手は一時期から考えると難しくなっているように見えます。
2六桂打、同銀成、同歩、3七桂成、5六銀上、7三桂打。
4一角打。この打ち込んだ手は、こちらも力強く。
6五桂、同銀、5四香打、5五歩打、同香、5六歩打、6四歩打。
どちらにも勝ちがありそうな展開で、広瀬君も「瞬発力勝負」と。
手番の先手は2五桂打。バシッと。この手に広瀬君は「詰めろっぽい」。
4五歩、4四角打、3三桂打、3二角成、同玉、3三角成。
攻める先手。「ぱっと読みでは詰まない」と解説。
同桂、4四桂打、4三玉、3二銀打、同飛、3三桂成。
この局面では一転して「一目詰み」と解説が変化。同玉。
3二桂成、同玉、4四桂打。藤井さんの指し手が早いですね。
この手を見て、佐藤九段が投了。121手で藤井九段の勝ちとなりました。
終局直後、佐藤さんが第一声で「詰まないと思ってたので」と誤算の弁。
広瀬君も本局の総括で「最後に佐藤さんにちょっとしたミスがあり」と言っていて、
どうやら、終盤に後手が4三玉と逃げた場所が悪く、詰み筋に入ってしまったようです。
これを受けて、広瀬君の詰み読みが変化していたんですね。納得です。
とは言え、藤井さんの寄せも迫力のある、見応えのあるもので、
詰むや詰まざるやの手に汗握る終盤でした。
同世代のライバル同士「この相手には負けたくない」という気持ちが伝わる対局で、
最後は藤井さんの踏み込みが、勝利を呼び込みましたね。
派手さは無かったですが、両者を知る将棋好きな方には、
面白い対局だったのではないかと思います。
最近は振り飛車党が振るわないだけに、この先も頑張って欲しいですね!
来週の対局は『羽生善治 名人vs高橋道雄 九段』。
今年も大本命、羽生名人の登場です。解説は加藤一二三九段。
ひふみんが羽生さんの話をするのがとても好きなので、来週も楽しみです。
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