第64回ＮＨＫ杯テレビ将棋トーナメント。
本日の対局は『深浦康市 九段vs森内俊之 九段』。いよいよ準決勝となりました。
棋風は違いますが、両者共に受けが強く、鋭い寄せがあるだけに、ギリギリの攻防に期待です。
って、あれ。
司会が清水さんでは無く、矢内さんじゃないですか。
懐かしい。なんか声が焼けてるような。
今週、来週と矢内さんが代打だそうです。
理由は言いませんでしたが、清水さんが女流名人に挑戦しているので、その関係でしょう。
解説は佐藤康光九段。
いつもながら佐藤さんの声は聞き心地が良くて、癒し効果がありますねえ。
両対局者の印象を、深浦さんは序盤は研究熱心で自分の研究もあり、
終盤は「よくこれだけ指せるな」と思うぐらい粘りが凄いと。
森内さんはオーソドックスな棋風で終盤踏み込んでいく。
独自の将棋哲学があり、ぱっと見で分からない深い手が多い。
と見ているそうです。
対局前インタビューでは、どちらも「思いきり良く指したい」と
早指しのＮＨＫ杯らしい意気込みを語っていました。
読み上げは今日も室谷さん。順番的にそろそろ環那さんかと思いましたが、
都合が合わなかったか、もしくは盛大にやらかしてから出番が無いので、そちらも考えてしまいますね。
先手：深浦康市 九段
後手：森内俊之 九段
７六歩、８四歩、６八銀、３四歩、６六歩、６二銀。
佐藤さんは角換わりか矢倉を予想していましたが、後者に進みそうです。
５六歩、５四歩、４八銀、４二銀、５八金右、３二金。
７八金、４一玉、６九玉、５二金、７七銀、３三銀。
７九角、３一角、３六歩、４四歩、３五歩、６四角。
先手は３五歩と突いて行きました。
１八飛、７四歩、３四歩、同銀、４六歩、４三金右。
先手が３四歩と取り込んだところで、後手は同銀と応じます。
４七銀、５三銀、６八角、３一玉、７九玉、３五歩打。
後手は早めに３五歩打とし位を確保。
８八玉、２二玉、６七金右、８五歩、１六歩、１四歩。
ここで対戦成績。お互いに１２勝ずつの五分ですか。どちらが勝ち越すか。
９六歩、９四歩、３八飛、４五歩、５五歩、同角。
駒組み完了で、後手は４五歩の突き出し。
これに先手は５五歩と突き返しました。
３七桂、４六歩、同銀、７三角、１五歩、同歩。
手順に右桂を跳ねた先手は、このタイミングで端の突き捨て。
７五歩、８六歩、同銀、３六歩、７四歩、６四角。
佐藤さんは「７五歩は決断のいる手ですが早かったですね」と解説。
この手を見て、森内さんが長考しています。
そこからの８六歩。
このタイミングでの突き捨てに、佐藤さんは「解説が難しい手」と解説。
４五桂、同銀、同銀、３七歩成、３九飛、４四歩打。
後手は銀桂交換から、角を成る手もありましたが、と金作りを選択。
先手の飛車は１筋に回る手もありましたが、引いて３九飛。
これに後手が銀取りの４四歩打とした手に「先手に手があるか」という局面。
深浦さんが長考しています。どんな手が出るか。
７三歩成、同角、７四銀打、５一角、５二歩打、４二角。
指した手は成り捨ての７三歩成。そこから７四銀打、５二歩打と投入して、
後手角の利きを弱体化。曲線的な展開に佐藤さんは長期戦を予想。
５六銀、４八と、３六飛、５五歩、４六角、３五歩打。
後手は逃げた銀を追う５五歩、これに先手は歩越しに飛車を睨む４六角の切り返し。
同飛、２四角、１二歩打、３五角、同角、１二香。
後手は先手の飛車を吊り出して、飛車取りの２四角。
盤面が複雑になっていきます。
深浦さんが顔を紅潮させて考えています。ここで考慮時間が２分で並びました。
指し手は１二歩打。これに後手は飛車を取ってから１二香。
大盤解説では「１二歩の狙いが難しい」と佐藤さん。
１三歩打、同香、６三銀成、４二銀、５五銀、７七歩打。
後手に手番が回り、反撃の７七歩打。
同金寄、７六歩打、同金、５八飛打、４四銀、同金。
先手の金を吊り出してから、横からの攻めで５八飛打。
この手は銀取りでもあるので、後手の誘導で先手は銀金交換へ。
同角、３三歩打、６九金打、５四飛成、７一角成、８三飛。
後手は３三銀とし、角を弾く手もありましたが、切られる手を危険と見たか３三歩打。
ここは受けの呼吸と言ったところか、先手も６九金打として、飛車を弾きました。
佐藤さんは「形勢は把握しづらい。良い勝負」と言っています。
更に曲線的な展開へ。深浦さんの考慮時間が０分に。
１四歩打、同香、７二馬、６三飛、１三歩打、同桂。
先手は歩を使って、香桂と吊り上げます。
佐藤さんは思わず「なるほど」と言いつつ、
「なるほどは良い言葉ですね（笑」と言うのが佐藤さんらしいです。
５一歩成、５八と、７九金寄、５一銀、８一馬、６七歩打。
先手はじっと５一歩成。「５一銀と取るのは利かされなので、プロが嫌がる手」と佐藤さん。
そして、その手を指したのが森内さん。先手は桂を取り、後手は歩を垂らしました。
６三馬、同竜、４四桂打、４二金、３二歩打、３四歩。
先手はここで権利だった角飛車交換を実行。
佐藤さんが厳しいと指摘していた４四桂打が実現します。
後手は佐藤さんが「普通出来ない」と言っていた４二金の受け。
３四歩から上部への脱出を見せます。
３一歩成、３三玉、３二桂成、２四玉、３六角打、５三竜。
歩成、玉逃げ、桂成、玉逃げ。この２四玉の形は耐久力があるようで、
先手の３六角打は受けの手。森内さんも考慮時間も０分に。深浦さんは最紅潮。
５四歩打、４四竜、４二成桂、６八歩成、２六飛打、２五桂打。
先手は竜を追ってから金を補充。手番の後手は「攻めてこい」じっと２枚目のと金作り。
ここで先手は佐藤さんが指摘していた２六飛打。
森内さんが首を傾げているように見えます。２五桂打の受け。
同角、同桂、２五飛、１三玉、１五香、４二竜。
同角、同桂に３六桂打の王手竜取りが解説されていた中、先手の指した手は２五飛。
これは桂が２枚あるので、玉を吊り出し３七桂打としてから、
３六桂打で両取りの方が更に厳しいという狙い。
佐藤さんも「このパンチは効いた」と感心。
やはり、この飛車は取れないようで、後手は１三玉。
先手の端を追う１五香に後手は４二竜とし、竜の利きを守りに。
１四香、同玉、２六香打、２四桂打、１五金打、１三玉。
先手は後手玉を吊り上げて２六香打とし、２段ロケットの詰めろ。
２四桂打の受けには１五金打と決めて、後手玉を下段へ。
深浦さんが手を頭に当てています。珍しい光景かも。
読み切れていると言った感じではないような。
佐藤さんは、後手が受け切るのは困難だと見ているようです。
２四金、同歩、同飛、１二銀打、３六桂打、２三歩打。
手順に２四金、同歩、同飛。ここで佐藤さんが打ち歩詰めで受ける１二金or銀に気づきます。
実際にその手が実現して１二銀打。
「この手で受かっているのか、受かっているのかも」となり、
佐藤さんも驚愕で「奇跡的な受け」と評した神業の１二銀打が炸裂。
３六桂打に２三歩打と続いた所で、両対局者の動きが激しくなります。
３四飛、７九と、２五桂打、２二玉、７九金、５七角打。
先手が飛車を逃げた手に「詰みませんよ」と後手は堂々の７九と。
ここで深浦さんは自分を鼓舞するべく、右手で右頬を叩くという根性全開。
やっぱりこれぐらいの負けん気があるから、あの粘りが出せるんだな、と思いますね。
先手の２五桂打に２二玉。更に１一へ逃げる手が捕まえにくいようで、先手は自陣に手を戻します。
後手は追撃の５七角打。
６八桂打、同角成、同金、７九角打、同玉、６八と。
先手は秒読みを９まで読まれて６八桂打。後手は同角成と決めに出ました。
カメラにはうな垂れる深浦さんの図。
８八玉、７八と、同玉、４八竜。
最後は守りに利かしていた竜が飛び出すという華麗な詰み手順。
この４八竜を見て、深浦さんが投了。大熱戦は１６６手で森内九段の勝ちとなりました。
局後は激闘すぎて、両対局者共に言葉が出ない状態で、場は沈黙のまま。
大盤では佐藤が「両者共に力を出し切った名局でした」と締めの言葉。
最後は両者共に肘に手を当て顎に手を当て。同じ考えるポーズの絵で終了。
よくあるポーズではありますが、両者がやっていると、
香川さんに続いて、どこかジョジョちっくな絵でしたね。
一局を通しては、清水さんがいない時に限って、本当に研ぎ澄まされた好手妙手の連続で、
大熱戦も大熱戦。ギリギリの攻防が続いた中での森内さんの１二銀の受けは最高でした。
佐藤さんの解説が良かったのも含めて、今期一番の名局だったと思います。
いやあ、めちゃくちゃ面白かったですねえ。
録画している方は是非見ましょう。
次回の対局は『行方尚史 八段vs橋本崇載 八段』。
このカードも楽しみです。将棋もハッシーのＶＴＲも楽しみに。
司会が矢内さんなので、矢内さんのリアクションも見れますねっと。
解説は木村一基八段。
皆が大好き木村さんの解説ということで、これだけでも視聴率爆上げでしょう。
来週も大熱戦を期待しています！
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