絵本の良いところ。
文章が短くて、独特な雰囲気の絵があって、ちょっとした時間で読み終えることが出来る。それでいて、印象的な作品は心に残るからいつでもすぐに、思い出せて、頭の中で読める。
それが絵本の良いところ。
ところが、時折何だか不思議な気持ちになってきます。それは、当たり前のことなんですが、こどものための絵本を、大人が創っているということです。かの有名なフレーズ、「人民の、人民による、人民のための」に当てはめると分かり易いかと思います。「こどもの、大人による、こどものための」となります。まぁ、この場合「こども」が3つ揃うことはそれほど多くはなく、ほとんど「おとな」だったら揃うことばかりですね。というか、それはあまり重要ではないんですが。
分厚い専門書や小説と、ほんの数ページの絵本は似ていると思います。なぜかというと、絵本はただ単に大人がこどものレベルに合わせて創ったものではない、ということ。つまり、物事なり、世の中なり、ストーリーなりを凝縮して分かり易く簡潔に説明しているのが、絵本なのだと思います。たまには童心に帰って絵本を読む大人がもうちょっと居ても良いんじゃないか、と思うことがあります。
絵本の世界は大人からすると、「もう知ってる」「すぐ分かる」という内容かもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。こどもの頃と比べて、想像力や素直さは、果たしてどう違うのでしょうか。
「現実の世界は複雑だし、そんな単純じゃない。」
そうですよね、本当にそのとおりだと思います。
でも、絵本を読んで、育って、世の中を作って動かしているのも、大人ですよね。
やっぱり不思議です。
こどもにとっても大人にとっても、意外と絵本の中に、何かキラリと光るもの、あるいは小ちゃいカイヂュウみたいなやつ、がひっそりと隠れているのかも知れません。